「なぜ自転車はすぐ空気が抜けるのだろう?」
この疑問、ママチャリユーザーなら一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
車の場合、いったん空気を入れれば何年もそのまま走れます。
少なくとも数週間おきに空気を入れ直すことはありません。
なぜ自転車と車で空気の抜ける早さが違うのか?
それは、バルブ(空気を入れる口)が違うからです。
自転車(正確にはママチャリ)は英式バルブを、車は米式バルブを採用しています。
この英式バルブが曲者で、構造上非常に空気が漏れやすいのです。
というわけで、今回は「自転車のバルブを米式にしたら空気が抜けなくなった」というお話をします。
英式バルブと米式バルブについて
まずは英式バルブと米式バルブについて簡単にご説明します。
ほとんどのママチャリには下のような英式バルブが採用されています。

ムシゴムを使うのがこのタイプですね。
メリットは構造が単純で、修理がしやすいこと。
デメリットは、
- 空気が漏れやすい
- ムシゴムが劣化しやすく、頻繁に交換が必要
- 空気圧を測定できない
と、なかなか致命的です。
いくら修理がしやすくても頻繁に壊れていたら意味ないような…
一方、車のタイヤに使われるのは米式バルブです。

穴の中心に細い棒が立っているのが特徴です。
英式バルブとは対照的に、
- 空気が漏れにくい
- 頑丈
- 構造が単純
と3拍子揃った素晴らしいバルブです。
ウィキペディアにはバルブの写真や詳しい構造が掲載されています。
アニメーションもあって分かりやすいですよ。
ママチャリの英式バルブを米式バルブに交換する
さて本題です。
ママチャリの英式バルブを米式バルブに交換し、面倒な空気入れとおさらばします。
使うものは、パナレーサーの「エアチェックアダプター」という製品です。

これを使うことで、英式バルブを簡単に米式バルブに変えられます。
中にはこんなパーツが入っています。

上の3つのパーツでタイヤ1本分です。
これが2セット付属しています。
交換作業はとても簡単。
まずは英式バルブからバルブナットとムシ(プランジャー)を取り外し、下のような状態にします。

英式バルブのパーツ名については、下の画像を参考にしてください。

バルブナットを一気に外すと空気が勢いよく吹き出すため、少しずつ緩めます。
次に、金色のパーツをバルブステムに入れます。

あとはバルブ本体をねじこんで…

キャップをはめれば交換完了です。
とても簡単ですね。

劣化防止のため、ゴムパッキン部分にはシリコンメンテナンススプレーを吹き付けることをおすすめします。
これは本来エアガン用ですが、ゴムやプラスチックを侵さないので非常に使い勝手が良いです。
そうそう、バルブ本体をはめる前に、雄ねじにシールテープを巻くのも良いと思います。
シールテープとは白いビニールテープのようなもので、ネジに密着して空気漏れを防ぐ効果があります。
無事に交換できたら、空気を入れます。
米式バルブに対応した空気入れが必要になりますが、英式に対応した空気入れは米式にも対応していることが多いです。念のため、お手持ちの空気入れを確認しておいてください。
最悪、自動車に積んである非常用の電動空気入れを使うか、ガソリンスタンドで空気を入れさせてもらうという手もあります。
適正な空気圧はタイヤに記載されています。

私は圧力計付きの空気入れを持っているので、この値になるように入れてみました。
そして、タイヤを指で押してみると… 今までより柔らかい!
つまり、今までは空気を入れすぎていたようです。
バルブを交換してから1か月ほど経ちますが、空気は漏れていません。
おわりに
エアチェックアダプターを使えば、英式バルブを簡単に米式バルブに変えることができます。
米式バルブは、
- 空気が漏れない
- 圧力計が使える
と良いことづくめなので非常におすすめです。
ネックなのは価格でしょうか。
エアチェックアダプターは600円ほどですので、ムシゴムよりは確実に高価になります。
しかし、頻繁に空気を入れたりムシゴムを交換したりする手間や、「乗りたいのに空気が抜けてる!!」となった時の時間的・精神的な損失をなくすことができます。
お金で時間を買えると考えれば、確実に元は取れるでしょう。
ママチャリユーザーの皆さん、これを機に欠陥だらけの英式バルブとおさらばしませんか?
前回の記事
【ねじの締めすぎ注意】パンクした自転車の修理に失敗した話
自転車のパンク修理のお話です。壊れたのはもちろん英式バルブ。
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