プラスチックの表面にゴムがくっついている製品を使ったことはありますか?
ラバーコーティングとよばれるものですが、スマホのカバー・はさみ・USBメモリなど色々なところに使われています。
ラバーコーティングは滑り止めとして優秀なのですが、1つ大きな欠点があります。
それは、経年劣化でベタついてくることです。
表面が油のようにベタベタしてきて、とても使えたものではありません。
思わず捨てたくなりますが、このベタつきは簡単に解決できます。
この記事をご覧いただければ、ラバーコーティングの経年劣化を恐れる必要はありません。
経年劣化の実例
我が家には非常用にソラーパネル付き懐中電灯を常備しています。
懐中電灯の本体はプラスチック製で、その表面にゴムがコーティングされています。
このゴムが、経年劣化によって融けたようにベトベトになってしまいました。

表面のゴムがべたつくせいでほこりが大量に付着しています。
今回、この懐中電灯のべたつきを解消してみました。
用意するもの
使うのはただのエタノール。
これだけです。

「エタノール」と「消毒用エタノール」の違いはエタノール濃度です。下の表をご覧ください。
エタノール濃度(vol%) | |
---|---|
消毒用エタノール | 75~80 |
エタノール | 95.1~96.9vol |
無水エタノール | 99以上 |
「消毒用エタノール」より「エタノール」のほうがエタノール濃度がかなり高いです。
エタノールの濃度が高いほど早く蒸発します。
すぐに揮発してしまうと消毒には不向きですが、水気を嫌う精密機器の洗浄には使いやすいのです。
ちなみに、「無水エタノール」はアルコール濃度が99vol%以上と極めて高いです。
無水エタノールのほうが含まれる水分量はさらに少ないため、精密機器の洗浄により向いています。
私が購入した時には無水エタノールの在庫がなかったため、この記事では「エタノール」を使っています。
注意
エタノールは塗装やニス、ABS樹脂などを変質させる恐れがあります。
そのため、あらかじめ対象物の材質を確認したり、目立たない場所で少し試し塗りをしたりしてください。
特に「プラスチックの成形色そのままに見えるが実は透明なつや消し塗装がされている」物は要注意です。 エタノールが付着した部分だけテカってかなり目立ちます。
参考:無水エタノールを安全に使うためのルール|無水エタノール|健栄製薬
実際の作業
作業自体は単純で、布にエタノールを含ませてゴムをふき取るだけです。
エタノールは少し多め(布がひたひたになるくらい)につけたほうが汚れを落としやすいです。
軽い力で拭くだけで、ラバーコーティングが簡単に取れます。
また、エタノールはすぐ揮発するため、乾拭きは不要です。
ただし、何回こすってもゴムが取れず、汚れが落ちる前にエタノールが蒸発してしまう部分もありました。
そうした場所にはゆっくりと蒸発する「消毒用エタノール」を使い、何往復か拭き続ければコーティングを取ることができます。
「消毒用エタノール」を使うときには、液体が機器の内部に入り込まないよう特に注意してください。
下の写真は洗浄後に撮ったもの。

汚れとラバーコーティングがきれいに除去され、地のプラスチックの光沢が見て取れます。
もちろん、べたつきは一切ありません。
ラバーコーティングを取ると、滑り止めの効果がなくなってしまうという欠点があります。
しかし、それほど不自由することはないですし、お気に入りのものを使い続けられるメリットのほうが大きいです。
おまけ:粗品の企業ロゴをイソプロピルアルコールで除去
粗品(ノベルティ)として貰うボールペンなどにはでかでかと企業ロゴが印字されていることが多いですよね。
こうしたロゴは「イソプロピルアルコール(IPA)」でふき取ることができます。
下のような「ガソリン用水抜き剤」として市販されているものが安く手に入れやすいです。
イソプロピルアルコールもプラスチックなどを変質させる恐れがあるのでご注意ください。
人体への毒性も強いので、作業時には手袋が必須です。
「製品を使いたいけどロゴが気になる…」という方はぜひお試しください。
ただし、なかには何をやっても落とせないロゴもあります。
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