冬になると部屋や風呂場がとても寒いということはありませんか?
もしも窓のそばが特に寒いのなら、冷気の主な侵入元は窓とみて間違いないでしょう。
部屋を出入りする熱のうち、かなりの部分は窓を通るといわれています。
ガラス自体も熱を通しますが、アルミサッシの場合にはレールの部分からも熱が逃げていくのです。
有名な話ですが、雪国では窓が二重になっていて、窓と窓の間に空気の層を挟むことで魔法瓶のような保温効果を作り出しています。
二重窓は自分で作ることもできます。
必要な部材がセットになったキットが市販されていて、もともとある窓の内側に樹脂製の内窓を設置するのです。
二重窓を設置すると冷房や暖房の効率も良くなり、電気代の節約にもなります。
今回は私が実際に設置した施工例(設置から約3~4年経過)や、必要な道具・注意点などについて詳しくご紹介していきます。
私の設置例
早速ですが、私が浴室に設置した2つの窓をご覧ください。
こちらは一般的な横にスライドするタイプの引き違い窓です(縦が715㎜、横は1215㎜)。
もう1つは縦方向に上げ下げするタイプで、俗にいうギロチン窓です(高さは893㎜、幅は724㎜)。
もともとの窓が縦に長いのと、なかにあるものを取り出しやすいようにするためにこのような形にしました。
このほかにも、写真はありませんが自分の部屋にも一つ設置しています。
そちらは高さが1008㎜・幅は1775㎜で風呂場のものより大型です。
上の写真では見難いが、レールの横にはカバーが取り付けられていて、窓と壁の隙間がふさがるようになっています(下の写真の右端)。
次に、材料や使った道具、窓の構造について詳しくご紹介していきます。
材料
光モール 内窓フレーム
全て光モール社の『内窓フレームセット』を使用しました。
色は
- オフホワイト
- ストロングブラウン(暗めの茶色)
- ビスケット(明るい茶色)
の3種類があります。
これは、樹脂製の窓枠やレールがセットになったものです。
部材を必要な長さに切ったらレールを両面テープで貼りつけ、窓をはめ込むことで完成します。
公式サイト:内窓フレームセット 光モール
高さ910mm×横幅1820mmまでの窓に対応しています。
窓がそれよりも大型なら、以下のようなばら売りを買い足すか、最初からばら売りだけでそろえたほうが良いです。
必要な部材の長さはメーカーの説明書を使って計算してください。
ツインカーボ
パネル(窓の材料となる透明なプラスチック版)にはツインカーボを使用しました。
これはポリカーボネートを二枚張り合わせたものであり、間に空気層ができるため断熱効果も高い部材です。
厚さや大きさにいくつかバリエーションがありますが、私は厚さ4.5㎜を選びました。
光モールのフレームは3mm~4.5mm厚に対応していますが、3mmを使うには別売りのスペーサーが必要となります。
そのため、特に理由がなければ4.5mmをおすすめします。
なお、耐候性(紫外線による劣化防止)加工が施されているため、窓自体が紫外線に強いだけでなく、窓を通る紫外線をカットする効果も見込めます。
もちろん、プラスチック製のためガラスに比べてとても軽いです。
さらに、自己消火性のため火がついても燃え広がりません。
欠点はガラスと比べて透明性が劣ることですが、それを補って余りあるメリットがあります。
さらに大きな窓なら:パネルフレームHI
同じく光モールからパネルフレームHIというものも売られています。
こちらのセットでは高さ2200mm×幅2100mmまでの大きな窓に対応していて、窓がたわまないように補強材が付属しています。
ベランダについているような、人が出入りできるほど大きな窓に使うと良いでしょう。
対応パネルが4mm~4.5mm厚であり、前述の『パネルフレーム』とは異なり3mmは使えません。
また、同じ大きさの窓を作るにしても部材の寸法が変わるのでご注意ください。
もう一つのキット:アクリルサンデー製
アクリルサンデーからも似たようなキットが発売されています。
こちらは幅1800ミリ×高さ1400ミリまでの窓に対応しています。
しかし使えるパネルの厚さに幅がなく、3mm厚のものしか使えません。
また、アクリルサンデーのものは光モールより窓枠(フレーム)やパネルが薄いです。
私の場合は窓が結構大きめだったので反りが出るかもしれないと思い、厚めの光モールを選択しました。
しかし、アクリルサンデー製はフレームが薄いためか、設置に必要な幅が光モールより5mm短いです。
また、少し軽かったように思います。
アクリルサンデーのものは窓枠自体に最初から取っ手がついているという利点もあります。
しかし、その取っ手は出っ張りの部分が小さいため、あまり使いやすくはありません。
また、取っ手のせいで窓枠の垂直方向と水平方向の部材が別物となるため、両者を使いまわすこともできません。
以上のような強度・扱いやすさの点から、私は光モールのキットをおすすめします。
必要な道具
カッター
窓本体となるプラスチックパネルを切断するのに使います。
パネルは結構固いため、ある程度大きくて頑丈なカッターが必要です。
100円ショップのやわなものはおすすめしません。
私はこちらのオルファ製を愛用しています。
刃をスライドさせる動作だけで自動的にロックの固定・解除ができるので便利です。
なお、カッターで切るのが難しければ、ホームセンターに持ち込んで丸のこで切ってもらう(店舗によっては道具を借りて自分で切ることも)という手もあります。
曲尺(かねじゃく)
別名まがりがね。
L字型の定規で、ある辺に対して直角な線を引くために使います。
内窓DIYの一番の難所はパネルを直角に切りだすことであり、二番目の難所はレールをまっすぐ設置することです。
ここを失敗すると窓がゆがんだり、スムーズに動かなかったりします…
曲尺があればどちらの難所もクリアしやすくなります。
あるのとないのとでは作業効率が全然違いますので、使用を強くおすすめします。
金属製の定規
カッターをあててまっすぐ切るために必要です。
最低30㎝、可能なら1mのものがあると良いでしょう。
こちらは、100円ショップのものでも一応使えます。
刃物のガイドと曲尺の機能を兼ね備えた大きな定規もかなりおすすめです。
防水の両面テープ
内窓の設置場所が風呂場なら必須。
普通の両面テープでは数か月もすると湿気ではがれてきます。
二度手間なので、最初から水場用のテープを使うことをおすすめします。
ゴムハンマー
打撃面がゴムでできたハンマーで、叩いても表面に傷をつけません。
窓枠(フレーム)を窓(パネル)にはめ込むのに使います。
プラスチック用のこぎり
窓枠やレールを切るのに使います。
木工用ののこぎりでも特に問題なく使えますが、プラスチック用レザーソーもお勧めです。
刃が薄いため、刃の厚さをあまり考える必要がなく狙った場所で切りやすいのです。
その他
- メジャー(長さ測定用)
- やすり(切断面のバリ取り用)
- 養生テープ
(定規の固定など)
- 水性ペンか鉛筆(風呂場では前者、普通の部屋では後者を使ってレール設置用の印をつける)
作業の注意点や工夫点
ここでは作業にあたって考慮すべき点をご紹介します。
なお、特にことわりがなければ光モール製のことを指しているものと思ってください。
内窓の位置について
キットの購入前には、自分の窓に内窓を設置できるだけのスペースがあるのかを確認してください。
各社のホームページに最低限必要な長さが載っています。
参考:
また、設置場所が元の窓に近すぎるとクレセント錠がつっかえて動かせなくなります。
間に手が入るだけのスペースは確保したいところです。
逆に、あまりにも窓から遠すぎる(=窓の周りの壁に近すぎる)のも問題です。
風呂場の場合、もしも浴槽のそばに窓があるなら、内窓から自分に水滴が降ってくるようになります。
普通の部屋であれば、内窓とカーテンが接することで両者にほこりや水滴がつきやすくなります。
パネルの向き
パネルには細い筋が入っています。
これには補強の役目もあるので、窓が完成した時には垂直方向(縦向き)になるようにしてください。
こうしないと強度が低下し、重力に負けて窓が曲がりやすくなります。
パネル内のごみについて
パネルは中が空洞になっているため、切りくずなどが中にたまることがあります。
私は気にならないので特に何も対策はしませんでした。
もしもきれいにしたいと思うなら、窓枠をはめる前に細長い棒のようなもので中を掃除し、ゴミの侵入を防ぐために開口部をテープなどでふさいでおくと良いでしょう。
レールはまっすぐに取り付ける
レールをまっすぐに取り付けないと、窓の開け閉めの時に抵抗が増えたり、窓がゆがんだりします。
レールが長いほど設置の途中で曲がりやすくなります。
特に上レールは重力に逆らいながらの作業になるため余計に難しいです。
そのため、レール設置用の印をあらかじめ書いておくことをお勧めします。
私は曲尺を元の窓のサッシに当てて印をいくつか書き、後から線でつなぎました。
↓
窓をはめる時は窓枠(フレーム)を外す
説明書には「フレームをパネルに全て取り付けてから窓をレールにはめるように」と書かれています。
しかし、それでは縦方向がつかえて十中八九はまりません。
そのため、窓枠のうち垂直方向のもの(下の写真の黃四角)を外した状態で窓をレールにはめ、その状態で残りの窓枠をはめてください。
このようにすると、窓がたわんでレールにすんなり入ります。
手作り取っ手
私が購入した当時、光モールの内窓フレームセットには取っ手が一組付属していました。
しかし部材をばら売りで買うと、取っ手も別売りになってしまいます。
そこで、写真のように粘着テープを使うと簡単に取っ手が作れます(透明なせいで見づらくてすみません)。
これでも十分使えますが、表面がざらざらしたテープのほうがより掴みやすいかもしれません。
図のように、テープをパネルの裏に回りこませて窓枠で挟んでいるため、窓の重さがまともにかかるギロチン窓でもはがれることはありません。
ギロチン窓の作り方
基本は説明書の内容を90度回転させただけだが、いくつか注意点があります。
まず、上でも述べたように窓の筋は垂直になるようにすること。
次に、レールは左右両方とも上用レールを使うこと。
下用のレールは窓の取付けのために浅くなっているので、ギロチン窓に使うと少し動かすたびに窓が外れることでしょう。
当然、そのままでは窓をはめられなくなります。
そのため、水平方向の窓枠を外した状態で、少し力を入れて窓を曲げながらレールに入れてください。
また、上側の窓はどうにかして固定する必要があります。
私はレールに穴をあけてボルトを差し込み、つっかえ棒にしています。
この穴はレールを貼り付ける前に空けたほうが楽ではあるのですが、窓やレールがずれて計算通りの位置にならないことがあります(私も設置後に穴をあけなおしました)。
そのため、可能ならレールを設置した後に穴あけをしたほうがいいでしょう。
下側の窓も、開けたときには上に固定したいですよね。
こちらは、窓枠を適当な長さに切って、開けたときだけレールにはめるようにしています。
窓はそれほど重くないため、左右のどちらか片側だけで十分支えられます。
我が家ではまれにこのつっかえ棒が外れ、まさにギロチンになります。
これは窓の重さの問題ではなく、下がタイルなのでつっかえ棒が滑りやすいことが原因です。
つっかえ棒の改良(2020.12.22追記)
- たまにギロチンになる
- 窓の開閉のたびに棒を着脱するのはめんどくさい
という理由から、現在ではこのような物を作りました。
常に上に固定されている窓は窓枠の切れ端で支え、その切れ端にボルトを通して開けた窓を支えています。
ボルトは内側に押し込むことができるので、窓の開閉が非常に楽になりました。
窓枠の中はスカスカのため、穴の周りは『プラリペア』で補強しています。
プラリペアとはプラスチックを溶かしてくっつける接着剤のようなもので、抜群の強度があるため、DIYに便利です。
使用した感想
保温・保冷効果
我が家の風呂場には、浴槽の真上にかなり大きな窓があります。
冬場には窓から冷気が下りてきて、湯船につかっていても寒いほどでした。
しかし、内窓を設置してからは明らかに冷気が減り、室温が上昇したように感じられます。
真冬でも、湯船から出ても耐えられるほどになりました。
普通の部屋でも同じような効果を感じられました。
また、内窓をあけると冬場なら冷気が、夏場なら熱気が出てくるのを感じるため、断熱効果もしっかりあるようです。エアコンの効率化も期待できそうです。
冬場の場合、気温が上がる日中は内窓を開けて部屋を暖めておき、気温が下がり始める2時~3時に内窓を閉めれば夜間も暖房なしで過ごせることも多くなりました。
ただし、冬場なら結露が起きる。
真冬なら内側と外側の両方の窓で結露が発生するし、それほど寒くなければガラス窓だけに水滴がつきます。
もちろん、風呂場であれば一年中結露します。
ちなみに、ドアの隙間をふさげばさらに保温効果を高められるし、騒音も防げます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
目隠し効果について
プラスチックはガラスより透明度が低いです。
これには良い点と悪い点の両方があります。
メリットは、プライバシーの保護です。
もともと風呂場の窓にはすりガラスがはまっているのですが、それでも外から人の形が見えました。
それが内窓を設置した後は、人の形もほとんど分からなくなったのです。
外窓が通常のガラスであっても目隠し効果はあり、外から中の様子はほとんど見えなくなります。
デメリットはメリットの裏返しであり、部屋の中から外も見えなくなることです。
プラスチックはガラスに比べて傷やほこりに弱いため透明度は低く、内窓越しではほとんど外の景色が見えません。
内窓と外窓の間にあるものなら下の写真のようにわりとはっきり見えますが、それより遠くのものはせいぜい色と形がぼんやり分かる程度です。
ただ、はめ殺しではないので、景色が見たいときは内窓を開ければ済むことではあります。
紫外線カット
プラスチックは透明であっても基本的に紫外線は通しにくいです。
ツインカーボは高耐候コーティングがあるため、なおさらでしょう。
そのため、直射日光の当たる窓際に物を置いても日焼けする様子はありません。
このように、実感できるレベルで紫外線カット効果があります。
耐久性
私の部屋の窓は南向きで直射日光が非常に良く当たります。
しかし内窓を設置して4年ほどになりますが、ツインカーボに劣化は見られず、透明度も購入時とそれほど変わらないようです。
レールやフレームも基本的には問題ありません。
しかしフレームに組み込まれたゴムは劣化したらしく、パネルを咥える力が弱まってしまいました。
パネルにテープを貼り、厚みを増やして対応しています。
風呂場は部屋ほど日が当たる環境ではないためか、パネルもフレームも特に問題ありません。
湿度が高い環境でも特段の悪影響はなさそうです。
ただ、パネルの表面にわずかにカビが見られます。
ほとんど気にならないレベルですし(写真を撮っても写らないほどです)、広がる様子はありませんので、下手にスポンジなどでこすって傷つけなければ問題ないと思います。
おわりに
本格的な二重窓を設置しようとするとかなりの費用が掛かるため、簡易的にせよ既製品のキットで手軽に作れるとは便利な世の中になったものです。
特に冬場には、窓から伝わる冷気が大きく減るためそのありがたみを感じます。
作ってみると案外簡単なので、みなさんもぜひ挑戦してみてください。
コメント